「雪の女王」のカイがモチーフなのだろうか?、ニコライは。
絵に面白い感性があり、線の流れかたや丸みに引き付けられた。
ただ、ベッドシーンと切り離せぬ内容で描写のウェイトも高い。
また、ヴェロニカとの結婚のいきさつと、ニコライの(根は別物としても)キャラや、生き方、対女性観とは相容れない。慈善事業は心根と繋がっているとして作り手は同居困難な上記要素を繋げたい意向のようだが。
本人が気づいていないのだ、はわかるけれど、それでも両極性強すぎ。
ヒロインの過去も、その事件を巡る親との過去の確執も氷解も、どこか軽い解決を迎えた感じがする。
「怪物」はあえなく退治され、一体結局どう鎮まったか、が曖昧模糊、何度も彼を苛めていた頑固な存在だった割に安易に感じてならない。もう去った?、なのだ。ヒロインだって事件は重いはずで、親の筋違いな立腹など、「自業自得」で済むものでもなく、ただ名誉回復で終わる。父親の謝罪で決着感はしなかった。
ストーリーの裏にセック×とバイオレンスの両刺激を影を出したかったか知らないが、「もう苦しんだりするな」がデレ臭、というか、真の彼を見せて私の胸もギュッと来る。
彼の肉体は男らしく色気がある。だからか裸頻出。
また、髪型の後ろ姿が良い。
ロシア人に見えた箇所が幾つかあった。但し125頁左上右30°から横顔は老け顔で残念。幸せを示すシーンなのに。
人物の絵が、顔、スタイル、全身像、に雰囲気がある。
ただ私には、ストーリーはブツブツゴツゴツしたところが感じられ、小さくはない犯罪性あるそれらエピソードがその重さに反して、消化されはしない。各場面もう少し説得力を持ち自然な進行と帰着になっていたら、星は下げなかったことと思う。
邦題はHQありがちの違和感。原題と逆。男性視点で願望を命令口調で口にされたのと、女性視点で現実を語るのと。
読み直して今、氷の怪物など実は初めから居やしない、とするヒロインの感情で彼ニコライのことを見ていたら、ヒロインの過去のわだかまりを溶かした抱擁シーンの暖かみが初回で読んだのと違うものに変わった。冷たさを出す言葉にも強がりと痛々しさと、そして自分以外全てに心を閉ざし突っ張らざるを得なかった悲哀を、読んでいてちゃんと感じて、別の味わい方が出来た。
3.6~3.9位のつもりで当初4星としたが、再読して今は、同じ星数でも、4.0~4.2に上がった気分だ。