ブルーピリオド
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ブルーピリオド

山口つばさ

六巻で高校生編、完結。超ド級に面白い。

2019年1月17日
2018年のマンガ賞を総ナメにした話題作。読んでみたら、なんだこれ。なんだこれーー!!面白い。熱量がすごくて、読んでいて心が燃える。

主人公は、なんでも器用にこなすソツのない男子高校生。将来は無難に有名大学→優良企業へ就職、、と人生設計を立てていたのに、絵筆で表現するセカイへ出会ってしまった。その出会いのエピソードが一話になるのだけれど、夢中になって読みはまってしまった。熱量がすごい。作品世界へと引きずりこむ力が凄い。読みながら納得させられてしまった。トクベツと出会ってしまったら、主人公は、突き進むしかなくて、その道のりの困難さが主人公を主人公たらしめる。


多くの人がそうであるように、私も、芸術について…だなんて深く考えたことはなかった。そんな曖昧さを全力で殴ってくる作品だ。才能とは個性で、そして技術と閃きで、その必然だか偶発だかを生じさせる才能とやらを人に評価してもらうには、作品として完成させたものをどれだけ持っているのか、これから増やしてゆくかだ。主人公が美大突破するまで、という短期間のゴールが設けられており、そのゴールへ到達するまでのレベルアップの試験が「先生からの課題」と、明確で分かりやすく、読み応えがある。レベルアップのものさしを作品数とし、主人公の才能を「作品を期日までにライバルの数倍仕上げてくる」という努力型天才に設定することで、作品へ取りかかり、その壁を乗り越えるごとに胃をひりつかせるような苦悩と絶頂を主人公とともに楽しめる、胸くそ悪さのある、しかし胸ぐらごとぶちぬく爽快さがある。才能がぶつかり合い、研磨され、削られてゆく。良くも悪くも、削られていく。一瞬たりとも目を離せない。エンターテイメントの傑作です。
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