ワンルームエンジェル
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ワンルームエンジェル

はらだ

こんなに素敵な話があってもいいのか

2019年4月9日
感想だけを述べさせていただきます。
積極的に死にたいわけじゃないけど、何となく死にたい気がする。そんなSNSにありふれた感情をもつ幸紀が、天使に救われる話なのかな?という感じで読み始めました。でも読み始めれば、幸紀には名前負けする過去があって名前負けする人生があった。ある意味で死んだように生きていた中で現れた天使は、やっぱり天使だったのだなと言うのが読み終わった私の感想でした。救われていく話というのがはらださんの作品の中では珍しい気がしてしまった私ですが、ここまで幸せを淡く表現できるのは、はらださんの作品という前提があるからなのではと(笑)この絵柄で読んでるといつ受けが辛い目にあうのかとハラハラしてしまうんですよね。だからこそ幸せが淡く儚く眩しい。受けの笑顔が愛しい。なんだか狡さを感じてしまうほど素敵すぎる作品でした。途中、所々に撒かれた伏線が回収されていくのも惹き付けられるし、いらない登場人物はいないというか……何度も前のページに戻って読み返してしまう。この技巧さには頭が上がりません。楽しませていただきました。もう少し彼らの幸せを覗いていたかったというのが正直なところです。でも明らかに物足りないというわけでもなく、満足感はあります。最後のページをめくるのが惜しくて、綺麗に笑う天使は涙腺に来ました。本当に本当に素敵なお話です。これは本当に素敵。何年も残っていて欲しい。こんな話に出会ってしまうから腐女子はやめられない。間違いなく値段以上の作品でした。買って損はないと思います。作品の良さを上手く伝えられないのがもどかしいです。とにかく、私はこの作品に出会えたことを幸せに思います。
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