じゃあ、君の代わりに殺そうか?【電子単行本】
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じゃあ、君の代わりに殺そうか?【電子単行本】

榊原宗々/蔵人幸明

主人公視点でもホラー、脇役視点でも鬱

ネタバレ
2019年9月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 広告から試し読みをし、そのまま購入しました。
いじめを受け、心の底では救いを求めながらも諦観しひたすら耐えることを選んでいた主人公の元に突然現れた救世主、主人公のためならば他人を傷つけることを厭わないアメリ。その様子からは本当に主人公のことを想っていると言うよりは自己中心的な歪んだ執着が見えるようで、アメリの心の内が分からずひたすら不気味です。まだアメリの背景も想いも分からないので何とも言えませんが行き過ぎた友情…なんですか?
ヤンデレ好きやBLっぽい表現が好きな方にはグッと来ると思います。個人的には行き過ぎた友情、サイコなイケメンが主人公を救うため手段を選ばない様子か
ら現代日本版の「霊応ゲーム」の様にも感じました。
秀逸だな、と感じたのは救われた主人公と誰にも救われない横田さんの対比です。ただ1人の好きな人以外はどうでもいいという愛の重いキャラクターの話は多くありますが、救われなかった側の心情をクローズアップしている作品はあまり見たことがなかったので「そうだ、このメインキャラに愛されなかった傍役に救いの手なんて都合よく差し伸べられたりしないんだ」とハッとさせられました。主人公視点でファンタジーを見てた気分に一気に現実を突きつけられた感じです。ある意味アメリに救われなかったもう1人の主人公。主人公に自分と同じ不幸を望む横田さんは人間らしくて歪んでいてとても好きです。
総合的に非常に刺さり次巻も購入するつもりですが、少し気になることを挙げるなら主人公のいじめ描写がほぼワンパターンであまり悲壮感がなかったことと学校外の主人公を取り巻く環境が分からないことです。というかいじめっ子ほぼ尻しか攻撃しないな?もう少し主人公の家庭環境も見せた上で逃げ場がなく諦めざるを得ない生き地獄であることがわかるような心理描写があれば、アメリが本当に太陽みたいな救世主みたいに見えてもっと主人公の気持ちを追体験出来て良かったかなと思います。
アメリはどうやって警察から逃れるのか、そもそも警察に捕まることもバッドエンドだとも思ってなさそうなので今後どうなるのか続きが本当に楽しみです。
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