このレビューはネタバレを含みます▼
作者自身この作品世界を好きでたまらないことが伝わる情熱的な執筆ぶり、そして素晴らしく精緻な画力。前作「エマ」からさらに拍車がかかっています☘☘
19世紀の中央アジアを舞台にしたこの作品、一番目の乙嫁アミルは凛とした美しさで少し天然。馬を乗りこなし狩りもする野性のしなやかさ。そして情が深く純粋で魅力的です☘
推したいのは兄のアゼル。うるわしき美丈夫。 弓や乗馬の腕前はもとより戦闘能力高く、知略にも鋭いところを見せてひたすらカッコイイ。性格も男前。生真面目すぎてめったに表情を崩さない笑わないオトコw。ちょい血の気多めでたまに無茶します ☘
アゼルと従兄弟2人との3人組がバランスのよい関係性。ある波乱の後、若くして族長となったアゼルを今後も支える存在でしょう☘
少年カルルクも成長しつつあり楽しみです。さぞやいい男に育つ設定なんだろうな~☘
他にも魅力的な登場人物がたくさん。様々な乙嫁たちの結婚物語があります。最近知ったのですが、主人公はアミルではなく、旅行家で研究者のイギリス青年スミス氏とのこと。彼と現地女性のロマンスも素敵です☘☘
馬と人との交流、騎馬の姿の凛々しさ、あるいは騎馬集団の迫力、鷹狩り猟の緊迫と躍動、野生動物の生命感あふれる姿など、動物たちの描写も素晴らしい☘☘
読後は紀行ドキュメンタリーの番組を見終えたかのような満足感。折りに触れ繰り返し読んで新たな発見があります☘☘
そして気になるのは、背後にただよう不穏なロシアの気配。この先どこまで描かれる予定かわかりませんが、たとえどんな過酷な運命にさらされても登場人物たちが皆、しぶとくたくましく生き残っていてほしいと願わずにはいられません☘☘☘