嫌いでいさせて
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嫌いでいさせて

ひじき

読後感が…

ネタバレ
2020年5月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 他の方より辛口かも。


読後感が悪く、読み終わったあと気分が落ち込んだ。
まず、オメガバースは性差別という困難を付与するのが簡単すぎて大体の作品にその要素があるのに未だに慣れない。律儀に毎回メンタルをやられてしまう。
男性妊娠表現が好きだから我慢できず手に取るんだけど、いつもやっぱり鬼門だと思い知らされる。
1巻では最後に第二子の妊娠があり、「良かったな〜」と思って終わったんだけど、2巻はしんどかった…。

性差別要素もそうだけど、それはまあ仕方ないとして、一番メンタルをやられたのは受けをレ●プした男の存在だった。
ただし、彼のしたことそのものよりも、悪役としてだけしか価値がないようなキャラ設定なのがとにかく引っかかった。
どうしてあそこまで自己中心的で傲慢な性格になったのかというバックグラウンドが分からないから、受けにつらい過去を抱えさせるためだけにレ●プさせた、という印象になってしまった。
同時に受けも、可哀想な過去を持つキャラにするためだけにレ●プされたんだな、と思った。


あとがきで彼について「誰も擁護できないクズを目指した」というようなことを書かれていて、余計にモヤモヤした。
彼が酷い人間になってしまった相応の理由が知りたい。彼の人間性の根拠はなに?
どちらかというと性善説を信じているので、彼の存在価値は受けをレ●プする犯罪者役となって、攻めに罰を与えられて読者をスカッとさせることだけなのかな、と思ってしまった。

だから読み終わったあとはとにかく彼が不憫に思えて仕方なかった。
読後感の悪さはこれが原因か……生まれた時から一切救いがないことが確定してるようなものだもんな。
主役ふたりがハッピーエンドを迎える一方で、彼はひとりで予定通りのバッドエンドを迎えたのか。
いち漫画のキャラにこんな入れ込むなんて馬鹿らしいと自分でも思うけど、彼こそどこかで誰よりも幸せになってほしい。

もし作者が自身のSNSとかで彼の設定を話していたらちゃんと知りもしないで辛口評価して申し訳ないんだけど、それでもそこはきちんと作品内に盛り込むべき要素だと思うからどっちにしろ評価は変わらない。
好きな作品のひとつに加えたかったなぁ…。
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