ペリリュー ─楽園のゲルニカ─
」のレビュー

ペリリュー ─楽園のゲルニカ─

武田一義/平塚柾緒(太平洋戦争研究会)

ぜひ読むべき作品

2020年5月30日
みなさんも書かれていますが、ほんわかしたかわいい絵と内容のギャップがすごいです。


私の祖父も、ペリリューではありませんが、戦時中南方へ出征していました。

戦闘はなかったようですが、食糧事情や衛生状態、上官からのリンチなどは凄惨なものだったようです(祖父は訓練時に殴られた後遺症で、左耳がほどんど聴こえなくなりました)。

認知症が進み、5分間に何度も同じことを聞くようになってからも、戦時中のことだけは鮮明に覚えており、それはいかに大変な時代だったかということでしょう。

もう亡くなって10年になりますが、もっと聞いておけばよかった、聞いたことを記録しておけばよかった、と本書を読んで思わずにはいられませんでした。

隣で笑っていた人が死ぬ恐怖、慣れていく恐怖、それができずに精神が壊れる恐怖、いつかは自分が、の恐怖、帰りを待つ側の恐怖


あたたかなタッチで、丁寧に戦争の怖さを教えてくれています。


語れる人がほとんどいなくなってしまった現代、聞いた記憶を引き継いで行くためにも、たくさんの方に読んでいただきたい作品です。
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