アダムの肋骨
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アダムの肋骨

みちのくアタミ

みちのく先生、お見事です

2020年6月10日
読後のこの感情を、どう表現していいのかわかりません。ちょっと心に重たいものが、あるんです。哀しいような、辛いような…だからと言って不快というものでなく、暗くなってるわけでもなく …結論から言えば、幸せになってねって思います。
多重人格という難しいテーマとBLを融合させて、見事な作品に仕上がっています。BL以上の人間愛が織り込まれ、よく2巻におさめたなぁ…と思います。逆を言えば、ストーリーが深いので、2巻完結ではもったいないですね。あとがきによれば、深く突き詰めればBL色が薄まるから、掘り下げ過ぎるのも難しいんでしょうね。BLのくくりがなければ、もっと壮大な物語になっていたのかもしれません。
これはこれで、素晴らしいBL作品です。最初の勝手なイメージは、いろんな人格と、それぞれエロくなるのか?って思ってたんだけど、そんな簡単なものじゃない。本当に良かった。心に受けた傷、辛い思いから逃避するために生まれた別の人格たち。その各々の人格を尊重し、接する主人公悠真。悠真に救われた人格たちは、それぞれ統合されて、消えて行きますが、それはさみしいけども悲しい事ではなく、心が救われた事だから…あぁ、でも割りきれるもんじゃないですよね。誰が主人格で、誰が残り誰が消えるのか…そして誰に残って欲しいのか…ここです。ここに、きっとしこりが残ってるんだ、私。思い通りの結果で、良かったんですけど同情が残りました。でも、元々一人の人格で、同一人物なんだからこれでいいんだ。ん?何か書いてて、混乱して来ました(笑)とにもかくにも、めっちゃ良かったです。
叶うことなら、スピンオフで、光太郎&リアンが読みたいです。叶うことならではなく、叶えてください。この二人をガッツリ描くと、主人公が食われてしまうから控え目にしたとか…なら、もうスピンオフは必須です。お願いします!
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