正直不動産
」のレビュー

正直不動産

大谷アキラ/夏原武/水野光博

どこの業界も…

ネタバレ
2020年7月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ ある程度は「客をだます」ことをしなければ、稼いでいけないのは、事実です。

ただ、不動産屋さんについては、学生の時から、一定の不信感というか…

「退去の際に、シンク、バスタブの新調も、当然に借主が負担していくこと!」なんて、家主と不動産屋がタッグを組んでの、ありえない要求など、当たり前にされていましたからね。

敷金は、1万円でもかえってくれば「やった!」と喜ぶ「無知・無垢」な客が、どれだけ、ボラれていたことか…

本作は、途中から読み始めていたので、主人公を「誠実な、信用できる営業マン」として、ずっと読んでいたのですが、1巻から読んでみて、仰天!

なんと、仕事も私生活も、すべて自分本位の、かなりのドクズであることがわかりました。

とにかく、ちょっと、いくらなんでも、ここまでヒドイひと、いないでしょってくらいです。

それが、ある日、かなりのばちあたりなことをしでかして…

その罰?として、肝心な場面で「正直」なことを話さずにはいられない「体質」になり、業界の悪習慣や知識のなさにつけこむ悪徳同業者から、お客さんを救っていくという初動展開でした。

現時点では、もうすっかり、善人になった感のある主人公ですが、じつはまだ、腹の中には一物を持っているのではと、ついつい、勘ぐってしまいます。

宅建を持っている人なら「常識」ともいえる、ギリギリの嫌がらせの手法が、次々と「敵」側から繰り出され、主人公もそれに知識で対抗していくというパターンですが、実際に、カネをかけて、ここまでやるか?な展開もありますが、奥の奥を知っておくには、読んで損はありません。


この作品にて、「契約の説明?失礼ですが、あなたは、宅建の資格をお持ちですか?ただの事務員さんではないですよね?」くらいは、堂々とカウンターで言えるような

(実際、宅建ホルダーでなければできない、契約と重要事項説明を、ただの事務員に説明させている不動産屋はかなり存在する。)

なめられない「店子」になる人が、この作品を読んで、増えればいいなあと思います。いまだに、都市ガスが十分にゆきわたっている地域でありながら、業者からリベートをもらい、プロパン設置にしている、または、単身者向けの部屋なのに、電力会社から何かあるのか、家族向けの50アンペア設定(基本料金がケタで違う)にしている家主など、何万人単位でいるのですから…
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