親愛なるジーンへ
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親愛なるジーンへ

吾妻香夜

続きが早く読みたい

2020年8月12日
甥っ子の目を通して、現在から過去を振り替えるスタイル。70年代のニューヨーク、まだカミングアウトが難しい時代の弁護士と、アーミッシュの青年の恋の物語。海外の雰囲気を描くのが上手。周りの人の優しさにもグッと来ます。2人はどうなるんだろう。「桜田先輩~」からこの作家さんを知りましたが、あまりに作風が違う(笑)「ラムスプリンガ~」のスピンオフです。アーミッシュについてはそちらの方が詳しく理解出来るし、作品としても素晴らしいので強くお勧めします。本番は最後に一回のみですが、十分楽しめると思います。ハッピーエンドだと良いな。早く続きが読みたい!!!
★2巻を読んで追記★2巻がショックすぎて追加レビューが書けなかった。2巻では、外の世界を知ったジーンがトレヴァーの元を去り、10数年後に再会するというもの。疑問でならなかった。物理的距離が離れても、時々帰ってくればよい。愛を諦めなくても良いだろうと。トレヴァーがハンバーガーを食べられなくなるシーン、教会で微笑みながらも思わず落涙するシーン。金銭的にも愛情的にも、すべてを与えたからこそ、ジーンが世界を知り、成長し、自分の元を去ってしまう(トレヴァーはそんな風には思わないが)。こんな苦しさ、悲しみはあるだろうか。再開後の二人は友人なのか恋人なのかも分からず、こんな切ないことってないよ。でも数か月をかけて、この2巻を消化してみた。トレヴァーはジーンの可能性を自分のせいで潰す事は絶対にできなかった。ジーンもトレヴァーの元に残ったら、神であるトレヴァーは、故郷と同じように自分を縛り付ける「神」になっていただろう。だから、神だろうとなんだろうと、自分の目指すものは振り切らなければならなかった。それでもトレヴァーはジーンに、「全て赦す」と伝える。ジーン(若者)は、親やトレヴァー(保護者 )を振り切り飛び立つ。それは若さゆえの傲慢さであり、自惚れかもしれないが、私自身も同じような事をしていた。そう考えると、ジーンのしたことがグッと身近に思える。トレヴァーはトレヴァーで、ジーンに救われた。人生の素晴らしい一瞬を胸に一人で生きていく決心をする。彼の強さや愛の深さに、心が洗われる気がする。読者にしてみたら、二人でずっと一緒に生きて欲しかった。でも本当に深く考えさせられる、笑いもあり涙もありの、素晴らしい作品だった。
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