三回読めて三回違う楽しみ方ができる名作





2020年9月17日
東京に住む人間たちの心の闇とか、社会の矛盾とか傲慢さとか理不尽さとかがオムニバス形式で描かれ、いちいち共感してしまいます。漫画が描かれた30年前と今で人間の本質的なものって何も変わってないんだな‥と失望するのですが、そのなかでも人間のちょっとした優しさが描かれ励まされたりもします。この作者さんの社会や人に対する考え方好きだな、と好感を持てます。そして何よりメインキャラクターが素晴らしく愛らしいので大好きになります。暗めなストーリーのなかの救いです。が‥‥、徐々に不穏な空気を感じさせつつも、最終回直前の盲導犬の優しいエピソードから、まさかあのラストにたどりつくとは想像だにせず、読んだ後しばらく呆然としました。すごすぎる‥。一回読んで呆然として、二回目に伏線を回収しながら読み返して納得して、と違う読み方ができます。あとは別漫画「X」を読んでから三回目に東京バビロンを読み返すと、主役ふたりについてまた違う解釈ができるので面白い。三回違う視点で熱心に読み返せる漫画はこれだけです。

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