囀る鳥は羽ばたかない
」のレビュー

囀る鳥は羽ばたかない

ヨネダコウ

しんどい、重い、でも癖になる

ネタバレ
2020年11月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 6巻までで第一章が終わった、といった感じです。
かなり読み応えがありました。
物語がかなり作り込まれており、恋愛観や自分を形成する根底にあるものとは何かについて考えさせられました。いろいろな登場人物が出てきますが、主要人物にはきちんとストーリーが描かれており、なぜそうなったのか、どういうふうにしてここにいるのかがよく分かります。

矢代と百目鬼は辛い過去を抱えています。百目鬼は現時点である程度折り合いをつけているように思えますが、矢代は乗り越えられていません。
自分で自分が幸福になることを遠ざけているフシがあります。

七原が6巻の最後で言っていたことがすべてのように思えます。
矢代は幼い頃から望まない形で性癖を捻じ曲げられ、そういう性癖になってしまった。そうやって生きてきた。だからこそ、百目鬼に大切に扱われると、今までの自分が壊されてしまいそうで怖いんだな、と思います。優しさを知って、愛されることを知って、それを失いたくないと思うことが怖いんだなぁと。

物語はまだまだ続くと思いますが、どんな形になっても二人にとってハッピーエンドが迎えられるといいなぁ
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