このレビューはネタバレを含みます▼
偶然読んだ記事で見つけた、ケインとメイの出会いから死までを駆け抜けるお話。初版は1995年とかなり古い作品。80年代のニューヨーク。まだ今よりもずっと同性愛者に対して厳しい時代。家族や友人の拒絶、母親の涙。自身への葛藤。ひた隠しにしなくてはならないという言動から愛する人を傷つけてしまう現実。つきまとうAIDSへの恐怖。とてもリアルに、生活の一部を切り取ったお話で、BLというよりはヒューマンドラマかな。凶悪な事件に何度も巻き込まれたり(特に2巻はページ取りすぎな気も)メイの辛すぎる過去に胸が痛くなりますが、最後は私が見たかった2人の姿を見ることが出来て、読んで良かったなと思いました。1巻途中、読むのをやめようかと思うほどケインにイラつく事もありましたがメイの幸せな姿を見るまでは!!と頑張りました。ケインも変わります。メイが過去の話をするときに、声を振り絞って「お腹がすいていたんだ」と言うシーン・・。涙が出ました。恵まれた時代で子育てをさせてもらっているな、と痛感。カムアウトされたケインの母親が受け入れられずに苦悩する様子も丁寧に描かれています。女の人の母性ってすごく深くて温かい。我が家の長男も9歳の時に男の子が好きと言いました。私は、いいよ、相手が男の子でも女の子でも応援するよ。と返事をしました。学校の先生の雑談で、「男同士でも結婚できるらしいよ」と聞いてきていたから、本当に世の中の理解が進んでいるんだろうな、と思いました。この本の母親を見て、もし長男のお相手の子のご両親がこんな風に悩まれていたら・・もう家族ごと幸せにする覚悟で行けって言うしかないな、なんて未来の事を思い浮かべてました。同性でも異性でも、幸せになるための努力は同じ。自分の大切な人を笑顔で連れて帰ってこられる、そんな家にしたいと思っている自分の気持ちを再認識させてくれた作品でした。