左近の桜
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左近の桜

長野まゆみ

美しい幻想絵画の連作

2021年1月3日
長野まゆみさんの作品を初めて読みました。1,2巻は12編の、3巻は4編の物語が入っています。それぞれが味わいの違う美しい幻想絵画だな、と思います。著者は美大卒ということで、さもありなん、でしょうか。私が一番興味を持つのは、桜蔵という男の子を通して、著者が何を「女」と表現しようとしているのか、というところです。連作ですが、お話に整合性はあまりなく、ストーリーよりもイメージへと読み手を引きずり込む。皿の上で全てを混ぜて再構築する。それは黄泉の国のイザナミのようにも、子宮のようにも思えます。そんなふうに自分の内側で遊んでしまう作品です。好みは分かれそうですが、私はとても良いと思います。
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