陰の間に花【電子限定おまけ付き】
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陰の間に花【電子限定おまけ付き】

ひるなま

脆いようで決して譲らないただ一つの想い

2021年1月8日
初めての作家さん。セールにて。とても好きなお話でした。江戸の時代。額に出来た瘤のせいで愛する旦那様から薬師の能之へ下げ渡された陰間の紫苑。江戸を離れ能之の家で2人の生活が始まります。口では恨み言を言っても、いつか瘤を治し心から愛する旦那様の元へ帰りたい紫苑。旦那様は決して捨てたわけではなく紫苑の為を思っての事だと思いますが、紫苑には伝わりません。紫苑は能之を利用するために自分を抱かせ上手く操ろうとしますが、日々の暮らしの中では能之に向き合い、気持ちの折り合いをつけようとします。能之もまた、共に生活し身体を合わせる中で膨らんでいく、紫苑に対する想いを無視できなくなっていきます。そして紫苑の瘤の成長は止まらず、旦那様への想いも尽きず・・。時代考証や設定がしっかりしているし陰間の事も詳しく書かれていて、興味深く読みました。絵も美しく睦事の描写も艶めかしくて良いです。ラスト、ああそうなのか、そんなにも苦しかったのか、という現実が待っていますが、2人ならきっと道が見つかると信じたいです。ラストはネタバレなしで読んでください。
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