このレビューはネタバレを含みます▼
深くて、優しくて温かい。三田先生の作品のイメージが、自分の中で根付きそうです。とても癒されるし、考えさせられる事もあります。
どんなにいい食事であっても、どんなにいい暮らしであっても、家族であって家族でない中での孤独ほど、辛く寂しいものはない。豊の哀しみがひしひしと伝わる。そんな豊と出会った兄弟が、豊を孤独から引き離してくれます。誰かと一緒に食べるごはんが、こんなに美味しいなんて…ささやかな事が大きな幸せを噛み締める。もう涙。
無邪気に懐く種くんが可愛くて可愛くて。おとうと兄ちゃんの三人暮らし。甘えたい年の頃に母が逝き、新しいお客さん豊は種くんにとって、大きな大きなおともだち。嬉しいよね。甘えたいよね。もぉ、ほんとに天使です。優しくていい子なんです。穣も弟を育てる責任につぶれそうで辛かったから、豊との出会いで、安らぐ時間が出来てほんとに良かった。BL色が薄いかな、と思いましたが、後半一転して恋が動き出し、キュンとしたり切なくなったり、盛り上がりは最高潮。義理の家族に好かれなくったって、たった一人の人に愛されたら、もう一人じゃないよね、豊くん。見えない先の事を不安がるよりも、今を大切に生きて欲しい。穣なら大丈夫。家族を慈しむように、大事にしてくれるよ、きっと。最後のおとうの言葉が、しみじみと心にささりました。おとうも哀しみと戦って来たんですよね。
はぁ、みんな幸せになって欲しい。
それから数年後、種くんが中学生。みんなのその後が垣間見れて、幸せ気分になれました。良かったぁ。