鬼は笑うか
」のレビュー

鬼は笑うか

木村ヒデサト

読み返せない

ネタバレ
2021年1月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 大抵は、伏線の取りこぼしを確認したり、セリフや描写の裏にあるものを読み取ったりすることを楽しむために読み返すのですが、この作品は、読み返せません。全部読み切るのもしんどかった。内容もハードでしたが、描写がキツかったです。教師からの性的暴行、親からの虐 待、残念ながら、珍しくはないテーマとも言えてしまいますが、何て言うか、目をそらしたくなる描写でした。身勝手な大人に無理やり傷つけられる子どもたちの姿が、現実のものとして想像できてしまいました。そういった意味では、力作であり、良くも悪くも読み手の心をえぐる作品です。生理という発想や妊娠検査薬を使った意図なども胸を突きます。タイトルも秀逸だと思います。この作品は、「鬼が笑う」という救いのある結末ですが、現実に救われる子どもたちはほんの一握りであろうと思うといたたまれなさが残ります。今は読み返せないですが、良い作品だと思いました。
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