ダブル
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ダブル

野田彩子

宝田は「荒ぶる季節〜」を読み反省文50枚

ネタバレ
2021年1月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ めちゃくちゃネタバレするので読んだひとだけレビュー見てください。ダブルっていうか、シングルでしょこれ。タカラダだけの物語。タカラダは、イケメンだし役者としての力量もあるし運も掴むし一気にスターダムにのしあがっていくので、芝居での俺TUEEEEEが爽快で既刊3巻まで一気に読める勢いがあった。最初こそ先輩ユウジンの存在感が大きいが、だんだんとタカラダの芝居での成功にクローズドしていくのにつれて、先輩の出番は減り、一方で「先輩ユウジンの擬似人格(つまり、タカラダの妄想)」が叱咤激励する内面描写が増えていく。タカラダは先輩に依存しきっていて、心の半分を明け渡しているんだなあ…男→→←男のクソデカ感情のぶつかりあいか!いいぞもっとやれ!と楽しめたけど、4巻収録分あたり(WEB連載追っかけました)から、ちょっとBLに寄りすぎて、芝居での俺TUEEEEE!から男男の情のもつれにテーマが変わってしまった。もうちょっと俺TUEEEEEを楽しみたかっただけに残念さが勝つ。思うに、2人のベクトルが違いすぎる。先輩→タカラダはステージママ的な感覚でタカラダの成功を妬みつつ喜んでくれている。自分のことは、きっと彼の靴のなかの小石くらいに思っていて、一緒にはいるし、常に意識される程度の存在感をもっているけれど、そもそも不自然に入り込んだ異物だし、いつかは離れるだろうと。先輩のほうが理性的で、独占欲がない。一方、タカラダ→先輩は、同一化願望に近い。タカラダは独占欲のカタマリで、それを愛欲と混同すると、彼にとって、とても都合がいいわけだ。ぜったい離れないぞ!と思っているタカラダの、先輩の全部が欲しいっていう同一化願望を、作者がどう幕引きしていくのか、不安でもあり、楽しみでもある。とりあえず2人は小学館の「荒ぶる季節の乙女どもよ。」全8巻を読んで感想をレポート50枚に纏めてほしい。「荒ぶる〜」の部長だって告白してきた男子に感想文を50枚書いてもらって、結局ケリをつけて大団円になった。タカラダと先輩は、わかり合うための時間を作れ。部長の言葉を引用するが、いまは本編がちょうど「汚らわしいのよ性の獣があ!」ってタカラダをぶったたきたい展開だから、とても読んでて苦しい。
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