きみは僕の嘘
」のレビュー

きみは僕の嘘

四宮和

帰る場所は大切なあの人

ネタバレ
2021年1月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『心情呼吸』が好きで、一通り作者買いしています。どの作品もレビューが少ないのは、寂しい事ですね…私はこれからも、四宮作品を追いかけたいと思います。BL作品で好みが分かれるポイントは、エロがっつり派か、ストーリー重視派かかと思います。まぁ、絵柄の好みとか性癖とか、色々あるかと思いますが、四宮先生は、どちらかと言えばストーリー重視派の方が好まれるのかもしれません。心理描写が繊細で、感情移入しやすく、ぐっと引き込まれて行きます。
この作品はデビュー作のようですが、とても繊細かつ丁寧に描かれています。親の再婚同士の連れ子の義兄弟。小さな子供の懐いた感情が、いつしか恋へと変わり、家族の絆を守るために押し殺す感情。そこには実父の自由な生き様に対する反発と、そのせいで残された家族に対する遠慮といった複雑なものがあります。必死に家族であろうとする光基と、自分の気持ちに気づいてしまった侑李。もう、このもつれた感情が、読んでるこちらも何とも言えない切ない気持ちになります。にぃが大好きな侑李は、素直にやきもちとか、寂しいとかの感情を吐き出せるけど、自分の気持ちの変化に戸惑いつつ、やっぱりまっすぐな子なんですよね。可愛いんです。
そんな二人を見守って来た、みゆきちゃんもお母さんも素敵な人で、家族って温かいなぁ、とホロリ。
あとは光基が、逃げ出さずに向き合うだけ。にぃの帰る場所はひとつしかないんだからねぇ(泣)侑李が健気だったぁ。可愛い~。
家族のカタチは少し変わるけど、新しい明日に向かって仲良く幸せでいて欲しいですね。良かったです。
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