獅子の夜伽は牡丹の下で【電子単行本】
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獅子の夜伽は牡丹の下で【電子単行本】

キヅグチ

唐獅子牡丹と龍虎、それぞれの純愛

ネタバレ
2021年1月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ ヤクザの鉄砲玉・一馬は、海に投げ込まれたところを彫師の玄野に助けられます。全身に施された玄野の見事な牡丹の刺青に魅了された一馬は、自分にも刺青を入れて欲しいと願い、代償として玄野の相手をすることを要求されますが、玄野は、まだ幼さを残した真っ直ぐな一馬をとても大切に扱います。生まれてすぐに母に捨てられ、父からの暴力に耐え切れず、父を殺めた一馬は、玄野に寄り添って眠った夜、初めて朝までぐっすりと眠ることができます。玄野もまた、一度は医者になったものの、家族との確執もあり、全てを捨てて彫師の道を選んだのでした。自ずと惹かれ合う孤独な二人に唐獅子牡丹の逸話が切なくも温かいです。一馬が命を預ける幹部の木崎もまた孤独な存在で、その後が非常に気になります。一つ一つのエピソードに重みがあるので、もう少しゆっくり展開しても良かったようにも思います。木崎がテッペンを取り、その白龍に玄野が色を入れる続編を是非とも読みたいところです。
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