ノット ロンググッドバイ
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ノット ロンググッドバイ

緒花

飛立つ渡り鳥は動かない愛を目印とする

ネタバレ
2021年2月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 少し前のセールにて。レビュー評価分かれてる作品で、その理由もわかりますが、私はすうううっごく好きでした!!お話の時間の行き来も多いし、心情描写とセリフの意味がとても深い話なので一度読むだけだとわかりにくいかも。あーこの話も語りたいなー。たぶん私では気づいていないいろんな意味がお話の中に隠されてる気がする。
冒頭から切なすぎます。。。ふたりの何気ない幸せな1日の描写、でも実はこの幸せにはタイムリミットがあって、その日は誕生日前日のおしまいの日。付き合う時に交わした、20歳になったら別れるという約束の日。それからお話は高三の春の出会いまで時間を巻き戻し、過去の子ども時代の回想を交えながらふたりで過ごした時間を繊細な描写で丁寧に追っていきます。本編最終話で冒頭1話と繋がる作り。海辺で飛び立つ海鳥を背景に初めて北斗を誘う至。でももうコドモではない北斗はあの頃のようについていけない。ラストで至は渡り鳥のように飛び立っていくけど、目印の北極星のように動かない愛はいつもそこにあるからきっと大丈夫。ツバメ舞う最後の別れの言葉が、冒頭と繋がって泣かせます。。。作者さま、ここの描写はほんとうに素晴らしいです。だから名前も北斗だったんですね。世界中どこにいても空を見上げればすぐ見つけられる愛。深い。。。あー語りたい。
帰ってくる描き下ろし番外編でお話が終わります。未完ではないです。この結末で私は満足かな。至はもう、一つのところに落ち着く人じゃないと思う。そういう至を北斗は好きになったんだから。
別作品のレビューでBLはハピエンを信じてるって書いてしまってますが、その舌の根も乾かぬうちにここで訂正します。消しておきます。この作品のように、好きになってしまったら仕方ない切ない系の作品も大好きだああああ。私が信じてるのはハピエンじゃなくて一途ですね、きっと。一途な愛があればなんでも赦す。だからたとえ至が何年も北斗を放置してようとも、放浪したりしてようとも、至がその間に他の人に心移りしたわけでなくて帰ってくるところはやっぱり北斗だったんですよー。だから赦す!
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