深潭回廊
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深潭回廊

永井三郎

苦しすぎて息が止まる(2巻読了後)

ネタバレ
2021年2月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 鳥肌が引かない。苦しい苦しい苦しい。お願いだから呪いを解いてほしい。救ってほしい。彼らのこの先を知れるのは1年後でしょうか。でも、もう、苦しすぎて知りたくないとも思ってしまう。柳田に何ができる?柳田に渚くんを救える?少しも幸せな未来なんて想像できない。それでも読まずになんていられないんだ。柳田に一縷の望みを託して。
(少し落ち着いてからの追記)
柳田への一縷の望み。彼は、南条くんをずっと求めていただけなのですね。スピン元の「スメルズライクグリーンスピリット」の三島のことにしても、本作の渚にしても、南条くんを重ねていただけ。体は大人になりましたが、心は、南条くんと別れたあのときの(子どもの)まま。南条くんもずっとずっと柳田を想い、求め、そして、耐えきれなくなった。きっと、彼も柳田と同じように苦しいときを過ごしたのだろうと思うと胸が軋みます。柳田だけが知るペンネームで、柳田と過ごした日を小説に残し、南条くんは命を絶ちました。その事は、柳田を追いつめるけれど、一すじの光のようにも思います。彼を愛してくれている人がいたという光。二人にとっては、悲しすぎる顛末ですが。
双方の親や周囲の目、心無い言葉や仕打ちは、彼らの人格やその他のことにどれほどの傷をつけたのかと想像するだけでもしんどいですが(南條くんは生きることさえできなかった)、果たして、親だけ、その周囲だけ責められることなのかという疑問と戸惑いを覚えます。「じゃぁ、あなたはどうなの?」と問われているような。柳田の過去を思えば、もう許されてもいいのではと思いたくもなりますが、それでは済まされないことも事実です。(柳田の事情はどうあれ、渚は中学生なのです)渚を救うのは、柳田でなくてもいいのです。そして、柳田も大人になる前に救われて欲しかった。大人と子どもの境って、何なんでしょうね。年齢だけで割り切れない複雑な心境です。私もまた、抜け道のない場所をぐるぐる廻っている状態です。辛い。
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