このレビューはネタバレを含みます▼
希望する部署に配属されずに大阪に転勤してきたばかりの北斗は、慣れない環境でのストレスから歓迎会で飲み過ぎてしまい、その勢いで辞表を書き、道頓堀川へのフライングを試みます。そこに偶然通りかかった大和とその兄弟達から色々と関西人らしい鋭いツッコミを受け、絆された大和に誘われて皆の住む家へ行き、さらに飲みながら愚痴を聞いてもらい、ついにノンケの大和と一夜を共にします。年下のチャラいヤンキー兄ちゃん・大和が、とても家族を大切にする心優しいイケメンで、拗らせDTと自分を卑下する北斗が、実はかなりのハイスペックで、一見正反対の世界で生きているだろう二人が大和の家族を交えて本当の恋人となってゆく過程が明るくコミカルに描かれます。両親が無く、自分のことよりも兄弟を優先することを当たり前としてきた長男である大和、男子校で初恋の相手にゲイを否定され、思春期の6年間ひたすら耐え忍び、恋人を作ることもできなかった北斗、それぞれの葛藤も昇華されます。大阪弁のセリフのやりとりがテンポ良く、明るく大らかな温かさに満ちている大和の家族、真っ直ぐな北斗、イケメン大正義な大和、230頁越えの読み応えのある楽しい作品です