このレビューはネタバレを含みます▼
絵に特徴がありますが、キャラクターと一致していて、味があって、愛着がわきます。松庵先生は、きっと雪さんに一目惚れだったのですね。雪さんに、「人を殺して亡骸を持ってこい」と言った先生の真意に、雪さんと同じく心が動きます。雪さんのことが大好きなのに、嫉妬でいらんこと言ってしまう先生も可愛くて好き。そして、不器用ながらも優しくて、懐の深い先生に魅了されます。雪さんは雪さんで、先生と抱き合う最中に刺客の気配を感じ取って、たった(漢字NGだった)まま剣を携える姿は、やらしさとかなくて、ただただ格好いい。修正とかいらないと思う。はあ…雪さんにも惚れる。辛い過去のある雪さんをまるごと包み込む先生ですが、先生も親に捨てられた過去があります。母を捨てた父親の治療後、家に帰ってから、雪さんにすがる姿は、何とも言えず切なく、2人が出会えて本当に良かったと思いました。魅力的な登場人物がいて、全体的なストーリーも本当に面白く、あっという間に読み終えてしまいます。どのエピソードも素晴らしいのですが、勘次さんのエピソードで、「男気はなくちゃいかんもんですか」と言う先生の言葉に、ああ、本当に、そういうことだよなと思いました。きっと普段何気なく思っていること、使っている言葉こそが、人を枠にはめようとしたり、あるいは自分を縛り付けたりしているんだなと。3巻ラストは、私的には本当に感動しました。時も人も繋がって今があること。先生と雪さんの人生に思いを馳せるとともに、自分に繋がってきた数多の人生を想ったりもしました。本編を読み終わって、3巻の表紙を見返して、本当に可愛いくて愛らしい人たち、素晴らしい作品に出会えたなーとしみじみしています。