トラウマを作った大ッ嫌いな漫画だが。。





人魚姫とかマッチ売りの少女とか、映画の、風と共に去りぬとかカサブランカとか、私が事前リサーチして迄ハピエン志向となった原因の話は他にも幾つもあるが、これはあまりにも酷いのだ。
苦難があっても、幸せがその後に待っていると、そう信じて読み進めたいのに。
絵がまた流麗なラインで、ナタリーの幸せを見つけようとする読み手の気持ちの高揚を汲み取り、そして突き落とす。
一条先生の原画展へ数年前に行ったときも、この異色の存在が先生の画業紹介に燦然とあり、嫌いなストーリーだなんて、それをどうやったら、こうも描けるんだろうと、唸ってしまった。
嫌い嫌いと言いながら、単行本と文庫本と持っている。
二度と読みたくない癖に。
そして読んだのは、これ迄に私はたった二度。
印象的で、心にずっしり影を落とす厄介な作品。
文庫本はシンガーソングライターの中島みゆきさんのあとがきにギャグの乗りがあり、陰鬱なストーリーをひっくり返す強烈なギャップ。
実は、以前から読みたいと強く思っている「プライド」や「有閑倶楽部」にまだ手を伸ばしていないのは、この「砂の城」から未だに立ち直れていないからだ。
昔雑誌で、漫画家の先生方が写真でお顔を見せてくださったとき、当時、一条ゆかり先生と里中満智子先生は凄くお美しかった。その後、池田理代子先生もだと分かり、漫画に於ける美の追求が、描き手に表れるのか、と妙に納得したものだ。
服がダサかったことが一度もなくて、横文字名前の似合う絵がめちゃめちゃ上手くて、独特の雰囲気があって、スピード感や時代超越感があって、どこを取っても一条ゆかり先生の世界は真似できないだろう。70年代当時から、画風に洗練と、劇場空間にアートがあって、ポップで。
そんなオリジナリティーとセンスの塊の作品群の中で、この異色の「砂の城」だけは、私の中で砂の城のように歳月が流し去ってくれない。もろい存在感ではないのだ。
それがちょっと辛い。一度読んでしまった者は忘れられないのが、砂の城。

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