このレビューはネタバレを含みます▼
評価が分かれていて、私はどっちかなーと思いながら、ページをめくりました。私は、ドハマりの側でした。フォローさん、おススメレビューありがとうございます!題材もタイラとアリの関係も琴線に触れます。一時期、山岳小説や稀有のクライマーと言われた長谷川恒男、最強のクライマーと呼ばれる山野井泰史(と妻妙子)のノンフィクション小説にハマっていた時期があって、アリの衝動に触れて、それらを読んでいた時の衝撃や興奮を思い出しました。実際に、死と隣り合わせにならないと生きていることを実感できない人たちがいて、生きていることを実感するために死んでしまう人たちがいるという、何とも理解と共感が難しい世界で、タイラのように寄り添ってくれる人がいることは、なんて尊いんだろうと思います。タイラが、「アリに死んでほしくないというのは、星に輝くのをやめろと言うのに等しい」と言うくだりは、泣けます。ソノオ先生が描く、他者を入り込ませない2人の世界が好きで、閉じているようでいてとても深くて果てがないと思える読後感がたまりません。フラットなままかと思われた2人の気持ちがぶつかり合うところは、ほんとに見所でした。あと、タイラの会話のテンポがすごーく好きでした。お互いの呼び方が変わるのも、ドキドキが増します。「アリちゃん」「おにいちゃん」…はあ、これはヤバイですね笑。そして、振り回されるフリーとジェンが良いアクセント!面白かったです!読めて良かったー。