薔薇王の葬列
」のレビュー

薔薇王の葬列

菅野文

心を消耗するダークファンタジー

ネタバレ
2021年4月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ この作品を一言で語れと言われたら言葉に詰まってしまうほど、深くて愛しくて悲しい物語。愛されたいと誰よりも強く望む反面、愛される事が怖いリチャード。たくさんの魅力的な人物がそれぞれの想いを抱えて死んでいきます。リチャードは救いがない程に残酷な人生を歩んでいきますが、バッキンガムと出会って温もりを知り愛を知り、そしてまた絶望します。バッキンガムは人生を投げ捨ててでも何を犠牲にしてでもリチャードと一緒に居たいと願う。作者自身が歴史に沿って最後まで描くと仰っていたのでハッピーエンドは期待できません。そもそもこの作品では死際に愛しい人を一目みれた、などが最上級の救いです。リチャードの最期がせめて愛しい人と共にありますように。
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