古風な画、説明の少ない作風にはまった





2021年5月4日
好き嫌い分かれるかもしれませんが、唯一無二の忘れられない作品です。複数刊ありますが、前作の続き。その前作は一巻のみなので、気になった方はまずそちらの購入をオススメします。昭和初期という時代設定ならではの薄暗さ、後ろめたさや妙な青臭さの入り交じった様々なエロス、説明を極力省いた語り口が、手書きならではの古風な画と相性よく、印象に残るシリーズでした。二つのカップルとも、キュンとか萌えよりも、もっと陰があり、もっと欲望に忠実な関係性で、それでいて愛が存在しているところが良かった。分かりやすい物語が多い中で、読み手に物語を紡がせるところ、現代の価値観では受け入れられないものを描き出すところ、独特の画風を徹底させているところなど、大衆作品でありながら文芸作品のような芯も感じ、作者さんに尊敬の念を抱きながら読みました。完結にかなり年月を要したそうですが、まとめ読みできて良かったです。

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shikimi さん
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よー さん
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