このレビューはネタバレを含みます▼
「Kyrie」を読んですごい作者様だと思っていましたが、今回もよかったです。人の弱みを握り操る「学園の情報屋」山口と大財閥の跡取り「学園の王子様」大河内が音楽の先生をめぐっての三角関係。先生について山口は「鬱陶しい、つまらない」と思い、大河内は「綺麗、繊細」と感じていて対照的です。大河内にとって先生は抑圧されていることによるストレスの癒しで、山口は先生の純粋で禁欲的なのに暴くと違うところにはまっていって...というお話でした。試し読みで先生が暗くてこの人を2人が取り合うのは無理があるのではと思いました。でも自己評価が低くて堅物で融通の効かない先生は2人をとことん赦す聖母受けでした。「イトウさん」は未読ですが、冥花先生のお話はやっぱり2巻欲しいと思いました。描き下ろしのrecess time(休み時間)とafter school(放課後)でかなり満足ですが、孤児から養子になって名門校に高校から編入した山口の過去話、彼が情報屋になる素地が描かれていたら完璧でした。彼が先生に今までに出会ったことのない人間だと言って心を乱されるところはグッときました。御曹司は確かにパーフェクト、でも山口が魅力的でした。先生がはじめて好きになった人に雰囲気が似てた(ような気がします)のもこのラストの所以かもと思いました。
2017年3月 総212ページ 修正は白抜き、真っ白。