このレビューはネタバレを含みます▼
アイドルグループの王子担当・椎名塁と仕事相手の雑誌編集者でインタビュアーの阿木嶺人とのお話。心の中に秘密の箱庭を持ち、その存在でバランスをとる嶺人にとって、アイドルとしての顔とふだんの顔が余りにも違う塁は鬼門なのですが、ある日偶然、塁が嶺人の秘密(女装)を知ってしまいます。その時はパニックになるものの、嶺人は誰も知らなかった自分だけの秘密を塁と共有していることに何故か嬉しさを感じるのでした。アイドルの自分と素の自分とを自然に使い分けているように見える塁ですが、実はそうなれたのは嶺人のインタビューを受けてからでした。ひとりぼっちだった嶺人の箱庭に塁が入って来て、かつて幼い嶺人が憧れていた二人の魔法少女が、何にでもなれるよ、明日は何になる?と塁と嶺人に語りかけてきます。嶺人に恋する塁もまた、嶺人に愛される自分に変身したい魔法少女なのでした。恋に不器用な塁ですが、変身した女装姿の嶺人も、いつもの嶺人自身も愛していると、最後はガッチリと嶺人の全てを受けとめます。なりたいもの、みたい夢、秘密の夢も一緒に見られるようになった二人の明るい笑顔にほっとする温かいお話です。