エスケープジャーニー
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エスケープジャーニー

おげれつたなか

「無理」から「めちゃくちゃ好き」へ

ネタバレ
2021年6月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ おげれつたなか先生を避けるきっかけとなった作品がこちらです。改めて読んでみると、「無理」となった場面も、苦手ではあるけれど平常心で読み進められます。でも、BLデビュー1週間やそこらの時には、殴って床に押し付けて無理やりというのがキツくて…しかも切れて血出てるし…と続きが読めなくなってしまったのです。
でもでも、再チャレンジして良かったよー。もう、ホントに大好きな作者さん&作品になりました。
1巻で、「変わりたいのに簡単に変われない」って言う太一の気持ちに、過去の自分が思い起こされて、苦しさが込み上げてきました。簡単に変われなくて、でも変わりたくて、なのに同じことを繰り返して人を傷つけて…自分にうんざりしました。だいぶ大人になって、そういった気持ちにも人に対しても折り合いが付けられるようになってきていますが、それでも太一に共感しかない。最初は「コイツ無理」って思ったのに…、人は変わりますね。
パリピで苦手だなと思っていたなおも、読み進めてみればめちゃくちゃいい子で可愛くて魅力的で、今となっては大好きです。脇キャラの子たちも素敵で、特に女の子たちがイイ~。健気で思いやりのある子たちなのが嬉しい。BLって、モノによっては必要以上に女子を悪者にしちゃうのがあって、悲しくなることがあるので、これは読んでいて気持ちよかった~。君たちも幸せになるんだよ~と応援しちゃう。
2巻は、なおと太一の関係を知った仁科登場で、2人がすれ違ったり、上手く気持ちを伝え合えなかったりするのですが、それがあって、お互いへの強い気持ちを確認し合えるのが良かったです。でも、同性同士の恋愛に対しては、偏見と好奇の目があって、という3巻への流れ。家族や友だちへのカムアウトも含め、泣けます。境遇が似てることもあってか、太一が母親に伝える言葉に込めたやるせない気持ちが痛かったです。たなか先生の心理描写は、深く掘り下げられていて染みます。なおの両親との場面は、違った意味で、響きました。太一の感じた諦めに対比する希望だなと思いました。
幾度となく登場した自転車のシーンですが、ラストね…もう感動で心震えます。本当に最後まで読んで良かったです。フォローさん、ありがとう。
そして、先生!「仁科も幸せにしたい…!」から3年です~。新作も続いているところではありますが…首を長くして待っていますのでいつの日か~!
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