アーモンドを七粒
」のレビュー

アーモンドを七粒

夏水りつ

「このみじめさから逃げたりしない」

ネタバレ
2021年7月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 主人公葉月のセリフです。このセリフに感激したし、葉月を尊敬した。恋人と思っていた人がどうやら自分を利用しているようだ、それも最低最悪の部類で。それが分かって対峙したときの言葉なんですが、みじめさから逃げずに受け入れる葉月に正直ビックリした。だって、葉月は可哀想だから自分を守って慰めたって良いのにだ。(というか恋愛漫画はそういうパターンのが多い。)それをしない葉月はかっこいいし、このセリフが出てきたこのお話を読んで良かったって思いました。語弊があるけど、失恋は惨めだ。しかも葉月の場合一層。それでも惨めさから逃げず、ちゃんと告白した葉月は本当に凄い。あそこでちゃんと好きだったって、普通言えないって思う。葉月はゲイってことで、家族と上手くいってないような描写もあったけど、それでもそれができる葉月は愛に溢れた家族に育てられた人なんだと思う。フォロー様方もおっしゃるように、自分も渡辺はアリでした。というか、渡辺はクズではないと思う。結城が渡辺のことを好きになったんだから、高校生の時の渡辺もクズではなかったんだと思う。結城を傷付けたことは確かに酷い。でも、ただでさえ、思春期にからかわれて自分を守るために、好きな女の子にブスって言って傷付けることはある話で、ましてやセクシュアリティに関わる話と思えば、上手く受け止められなかった渡辺はクズというより未熟だったんだろう。それを後悔しつつもみじめさから逃げた渡辺はそのまま大人になってまた同じことを繰り返して葉月を傷付けてしまった。当の葉月から教えられ、今度こそ渡辺がみじめさと向き合えて本当に良かった。
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