世田谷シンクロニシティ
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世田谷シンクロニシティ

本郷地下

性的マイノリティと偏見にフォーカス

2021年7月7日
作者買い。ゲイ、恋愛対象は異性だけど性的対象は同性、女装など、性的マイノリティを広く扱い、彼らに対する理解や偏見を取り上げる、社会的メッセージ性の強い作品でした。個人的には、タブーな関係の中に光を見いだす『メトロ』が大好きで、本作の作風は意外でした。最新作はオメガバース、と作風の振れ幅が広いのは凄いですね。ただ、本作のテーマ設定は好感が持てたものの、ストーリーとしては面白いと思えませんでした。一番大きな違和感は、主人公が「恋する相手は女性だけど」と言っている割に、全然恋人に恋していないこと。もう少しその恋心が描かれていれば「恋愛対象と性的対象のズレ」という設定に納得いったものの、ゲイに気付かなかった人にしか見えないので、本人よりも周りが振り回されているように感じてしまう。キャラやストーリーよりも、テーマ先行型の作品になってしまっているようで、少し残念だった。でも、幅広く興味深い設定で描かれる先生の作品はこれからも追っていきたいです。
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