イノセントを穢すキス【単行本版】
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イノセントを穢すキス【単行本版】

五月女えむ

闇を照らす一筋の無垢な光

2021年7月12日
新刊作者様買い。優しい童話のような世界観の中で織り成される愛憎劇で、真っ直ぐな想いが胸に残るとても好きなお話でした。
病の友人の為に薬草を探す王子シリウス。薬草に詳しい人物に辿り着き協力を仰いだその相手は、10年間シリウスに復讐する事を糧に生きてきたオンブラという男でした。

再会しても自分に気付かず、変わらず純粋無垢な姿で笑いかけるシリウスを前に憎悪の感情を激しく揺さぶられるオンブラ。
そのオンブラのぶっきらぼうな中に見せる優しさに触れ、次第に惹かれていくシリウスの心情の遷移が丁寧に描かれます。同時にオンブラが、自分の中にある憎しみと愛しさの狭間で葛藤し苦しむ様子が読んでいて切なかった。

シリウスは華奢で見た目も可愛らしくて、純粋さが滲み出ているかのような人物ですが、無垢で曇りがない分、色んな場面で芯の強さを感じました。
後半一気に話が動き、オンブラが幾度となく流す涙に胸が痛みましたが、幸せなラストを迎える事が出来て本当に良かった!最後に一度、身体を繋げる幸せなエチも見られて満足です。
作者様が「森のくまさん」みたいなBLを描きたいと思った事がきっかけで出来た作品との事ですが、まさしく!なファンタジーな特典ページも可愛かったです!
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