このレビューはネタバレを含みます▼
新刊から。
表題作のみ、216P。
初めての作者様かなと思ったら、読みホで以前読んだ『サハラの黒鷲』の作者様だったんですね!
『サハラの黒鷲』も良かったですが、こちらも良かったー!
王子シリウスは病気の友人の為、薬草を探し求めるうちにたどり着いた山麓の村で薬草に詳しいオンブラと出会います。
実はオンブラは長年シリウスを恨み復讐することを目論んでいて…。
オンブラの生きてきた道、シリウスとの再会で生まれる迷いや葛藤、苦しみに、読んでいて胸が切なく締め付けられます。
昔と変わらず素直で疑うことを知らないシリウスの純粋で淀みのない言葉や態度に苛立ちを覚えながらも心揺れるオンブラ。
シリウスもまた素っ気ないオンブラから見え隠れする優しさに惹かれ…。
一目で分かる強さを持っているオンブラに対し、一見穏やかでか弱く見えるシリウスですが、ぶれない芯の強さと男らしさがあり、作中何度もその強さに救われ胸を打たれました。
後半の息をつかせぬ展開からの感動的なクライマックスに読後感、感無量です。
画力がある作者様の描くキスシーンがとっても素敵だったのと、シリウスがオンブラの傷に優しく触れる描写がすごく好きでした!