明治従属タングステン
」のレビュー

明治従属タングステン

たつもとみお

はぁ、美しい…

ネタバレ
2021年7月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『1/365の恋人』が好きで作者様買いしました。表紙絵の美しさに目を奪われ、紙媒体で購入しましたがホントに綺麗で、カバーのマットな質感もよくゴールドとシルバー上下巻で美しいんです。亮二とエド共に美男子ですが、エドの青い瞳がたまりません。

物語は明治末期の時代物で、電力需要を受け水力発電所を建設する地方が舞台です。
計画技師の亮二と、彼に忠実な助手エドワードの主従愛がとても素敵な作品です。

異国で孤独に生きるエドが亮二に拾われ、彼の役に立つように健気に尽くすエドが、と~ってもいじらしい。その感情が、やがて敬愛から愛へと変わっていく様が、身体に触れることで高まっていくように自然で、丁寧に描かれています。近代的背景でないからこそ、なんだかイン靡な世界に見えてドキドキします。

亮二が抱える過去の傷や、亮二を囲った中原との過去も苦々しい思い出ですが、絶ちきる強さを持った亮二が男らしくなったなと思います。私情はよそに置いておき、難しい電力計画に尽力した亮二が清々しい。執着を残したのは中原で、中原の妻もまた狂気に満ちた執着が恐ろしくもあり、哀しいですね。
エドにいつかくるかもしれないとされた『巣立ち』は、亮二が中原から巣立ったって事なんだなと思いました。

亮二を支えたエドの献身で、過去から巣立った亮二が、いつしか愛という感情に変わって行った事も、とても自然な流れで良かったです。
目に不自由なエドが、もし見えなくなる日が訪れたとしても、亮二が先を照らす光となるでしょうし、
暗闇の恐怖がトラウマだった亮二にとって、エドが暗闇を照らす光だったと思うと、二人の歩む未来は希望に満ちて明るいと思います。
とても、とても素敵なラブストーリーでした。

タングステンの意味をググろうとしましたが、後書きに原子番号74の金属元素のひとつで、電球のフィラメントに使われているとありました。なるほどです。

フォロー様の『和洋折衷織り交わる生活にトキメキ』覚える感じ、すごくわかります(*^^*)
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