少年と神隠し
」のレビュー

少年と神隠し

ゆき林檎

愛する人のそばにずっといたい、永遠に…

ネタバレ
2021年7月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ そう思わせてくれる作品でした。
輪廻転生の物語です。ゆき林檎先生の他作品同様、この作品も辛くて悲しい物語で号泣する事を覚悟して読みましたが、泣かずに済みました。悲しくはなかったです。でも、ハッピーエンド(各読者さんの解釈によりますが)と分かっていても、読後のとても切ない気持ちはずっと残りますね。
テンと修一郎の前世と転生後の現在の関係性が凄く自然な流れで描かれていて、それでいてわかり易くて、さすがゆき林檎先生の洗練された芸術的な構成力だなぁと感心しました。純文学ぽい雰囲気で創られている作風もとても好きです。
前世で出逢ってしまった彼等はきっと、死後も転生後もまた、お互いの絶対に忘れられない何かに引きつけられて、何度も何度もどんな形であってもその出逢いを繰り返すんだろうなと思います。そう信じたい。はあ…なんて儚いんだろう。輪廻転生が実際に存在するのなら、僕も愛する人の為に何度でも生まれ変わって、永遠にそばにいたいです。輪廻転生が在ると思えば死ぬ事も怖くないな、って上人様(修一郎)が言ってたけど、確かに、そう信じてれば死も然程怖くないのかも。
作品の内容が、灼先生の『ハレとモノノケ』(2020)に通ずるものもあるなあと思いました。
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