only you,only
」のレビュー

only you,only

麻生ミツ晃

麻生作品では1、2を争うほどに好き

2021年7月27日
この作者様は自分の中で木原さんと同じく「痛みの伝道師」的な位置付けの方なので読む時は覚悟して挑みます。
「リバース」も然り、凄く読み応えがあって記憶に残る作品が多い中、私はこの作品が大好きで自分の陳腐な言葉で作品を汚してしまったらと躊躇ってしまってなかなかレビュー出来ずにいました。
こちら1冊まるごと表題作、ずっしりとした重厚感があり感情の振り幅が凄まじかった。ストーリーもさることながら登場人物の心理描写も秀逸で、1冊の中に人間の狡さ弱さ脆さ葛藤がこれでもかと描かれています。その見せ方が本当にお上手で何度となく心が痛くなってしまうのですが、個人的に電車の中で真木が独言するところは胸が締め付けられました。
大人の事情や同性同士の壁、別離もきちんと描かれています。ラスト、雨上がりの雲の隙間から零れ落ちる光が2人の門出を祝っているようでじんときました。
出会って良かったと思える良作、何度も読み返しては何度も感動しています。
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