明治従属タングステン
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明治従属タングステン

たつもとみお

BLと丁寧で良質なドラマが折り重なる

2021年8月1日
明治の文明開化の時代、片田舎の町に電気を灯そうとする発電所のストーリーが、単なるBLの舞台という位置付けを超えドラマチックで良かった。主従の二人が、徐々にその関係を超えて離れられない存在になっていく過程と、何もないところから皆で協力しあい町に明かりがともる過程が見事にマッチして、穏やかながらとてもロマンチックだった。黒髪受けの主人と、切ない時間を過ごしながら主人を真っ直ぐ慕う攻め、どちらも心優しく清く、時代背景もあり言葉遣いが丁寧で、カップルとして美しい。ストーリー重視派、心情重視派、穏やかで優しいBLが読みたい方にオススメ。時代劇苦手な人も大丈夫なはず。
恋愛物語として考えると、展開や台詞に意外性はなく、そこで星4と迷いましたが、これだけ絵もストーリーも気持ちも丁寧に美しく描かれていることに敬意を表し、やはり満点にしました。発電所見学をきっかけにここまで充実した一本の作品が作れるって、ため息出るくらい素晴らしいです。
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