明け方に止む雨
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明け方に止む雨

草間さかえ

咲く花、止む雨、ネズの木の下にあったもの

ネタバレ
2021年8月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『夜更けに花降る』生真面目な山田事務官は、隣に住む高天(たかま)の吸う煙草を怪しく思います。山田は調理師の高天の部屋で食事をご馳走になるのですが、煙草の吸い殻を手に入れようと入ったベランダで、山田のベランダから侵入したバラが丁寧に世話されていることを知ります。
『明け方に止む雨』山田の上司•里村書記官は、弟の死の原因を知りたいと現場の捜査をしていた結城とともに弟のスケジュール帳に書かれていた店を周ります。結城は、遺書とは別に「兄さんが好きだった」と書かれたメモを見つけていました。
『歌わない鳥』20世紀初頭、農場主の三男•ジョゼは絵を描くのが好きですが、家人の反対で思うように描けませんでした。ある日ジョゼは、領地の外れに住むアーサーの描いた絵を見て夢中になります。人殺しの孫であるアーサーは、街にも出られず、仕事も墓掘りの手伝いしかありません。それぞれに息苦しいけれども絵を描くことが大好きな二人が出逢い、ある絵にメッセージが遺されていることを知ります。
『風景画家と肖像画家』生まれ育った街を出て海辺の町で暮らすジョゼとアーサーが、お互いをパートナーとするまでが描かれます。
『鳥と木』後年になって、墓掘りの手伝いをしていた頃のアーサーのたった一人の友達•ポールを探し当てるお話です。
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