はきだめと鶴【電子限定特典付き】
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はきだめと鶴【電子限定特典付き】

キタハラリイ

至極不条理な世界で懸命に生きようとする鶴

ネタバレ
2021年8月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ リイ先生のこの作品、ずっと読みたいと思ってました。以前の値下げでゲットできてラッキー。
ん〜これはダークでむごい話なんですが、同時に美しくて希望のある物語でもありました。主人公、螢の波乱万丈で悲惨な過去には胸が痛みますが、直接的に過激で痛々しい描写はほとんどないので、そこまで重い印象は受けませんでした。ただ、螢がいた世界があまりにも無慈悲で残酷で…。螢が準太に過去を語るシーンは息苦しかったです。
はきだめの様な世界で自分の選んだ道を自業自得だと受け入れ、辛いながらも懸命に生きてきた螢は輝く鶴のよう。そして、そんな螢に手を差し伸べた準太もまた、螢にとっては、はきだめの中の鶴の如く、光る希望の様な存在だったのかなと感じました。
この世の中がはきだめなんだとしたら、そんな中ででも自分の価値を見出したい、誰かの鶴になりたい、と願う螢に心打たれました。一生懸命生きようとする姿は美しいです。
BL AWARD 2017 Best Deep1位の作品です。
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