マッチ売り
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マッチ売り

草間さかえ

『やぎさん郵便』にと続く始まりの章

ネタバレ
2021年8月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 舞台は戦後すぐの東京、友人に借りた本に挟まれていた恋文(差出人の名前のある後半1枚)を本人に返そうと、トンネルの中で相手を待ち続ける青年•廣瀬清高と、その向かいに立ちマッチを売る男娼•花城青司とが出逢います。実は花城は小さな出版社を営む社長でした。色々と訳アリそうな美貌の花城と、お人好しで鈍感で物知らずな学生•廣瀬とは逢瀬を重ねるようになり、『やぎさん郵便』の第一話へと突入します。
ここから花城の出版社で働く澤陣一郎と、廣瀬の同級生で件の恋文を書いた有原岑生が登場します。マッチ、火鉢、ラムネ、そして恋文、戦後間も無い昭和を彩る小物から風俗、風景の一つ一つが丁寧に描写され、4人の恋人達の物語が進行してゆきます。間違いなく作者さまの代表作の一つと言えるシリーズです。
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