おかえりさんかく
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おかえりさんかく

早寝電灯

三者三様の不器用な恋

ネタバレ
2021年8月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「半壊の花」が大好きな作家さん。この作品も新刊自動購入にして読むのを楽しみにしてました。
恋人と別れて1年半、何とか日々をやり過ごしていた紘記が働く喫茶店に、突然現れる元カレ丈。その再会の場面に居合わせた客の英征。再会と新たな出会いが交錯する、紘記を巡る不器用すぎる三つ巴の恋のお話。

淡々と運ぶ物語の中で描かれる三者三様の細やかな心理描写やモノローグがやはり素晴らしいです。全てを語るわけではなくて、一つ一つの言葉や仕草、表情の奥にある想いや情景を読み手が感じ取れるところがとても好き。
ちょっと不器用すぎじゃない?とも思える3人ですが、臆病で言葉足らずのすれ違いの過去や新たな出会いと触れ合いから動き出す関係が上手く織り込まれていき、どちらか一人を選ぶまでの過程で、3人それぞれにこのさんかくの関係が必要であったんだろうと思えるところは流石だな、と思います。
☆を減らしたのは、今回、受けの紘記のキャラが私的にそんなキャラだった?と感じる事があって(触れ合いの事ではなく、切り返し方などです)、どうも定まらなかった事と、個人的に描き下ろしの内容がそれは紘記を救うだけで選ばれなかった彼にはしんどいとしか思えなかったから。
フォローしてる方も書かれてましたが私も無い方が後味が良かったなと思います。
今月もう1冊発売される「罫線上のカンタータ」は無料期間中に読みましたが先生の色を強く感じる大好きなお話でしたので、こちらの発売も楽しみです。
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