キミに言えないことがある
」のレビュー

キミに言えないことがある

もふもふ枝子

切なくて、愛しくて、泣いちゃうよ。

2021年8月20日
初読み作家様です。タイトルと表紙に誘われました。
想いのすれ違いで拗れてしまった幼馴染みCP。随分と、遠回りをして、傷ついてしまったね。でも想いを捨て切れずにいて良かったと、しみじみ思います。
真面目で融通がきかず、正しい事を求める父親の影響を受け、同性に対する感情が『正しくない』と子供ながらに認識してしまった恭介。(ほんとに親の影響で良くも悪くも、子供の人間形成を左右する事が怖い)『正しい』事を求めるばかりに、自分の感情を押し込め、自分を好きだと言った佳純の気持ちをも押し込めてしまう恭介が哀しい。父親譲りなのか、『正しくないこと』に頑なに囚われ過ぎてしまっているように思います。ただただ佳純の幸せを思っての事なんだろうけど、佳純が幸せかどうかは佳純が決める事であって、佳純の感情は佳純のものなのに…佳純が望む幸せは、恭介以外の何ものでもないのに、佳純の気持ちを否定する事は、恭介自身が佳純の幸せを奪っている事に等しいなぁ、と思うわけです。(わぁ、名前がいっぱい連呼だ…トホホ)
どうして、自分が幸せにしてやりたいと思えなかったんだろう…そうしていれば、佳純も違う手を取らなかっただろうに、と思うとちょっと悔しい。
ずっと、辛かったんだろうなぁ、二人とも。切なくて、切なくて…
何が正しくて、何が正しくないのか。その正解なんてひとつじゃないし、もし間違っても、やり直せばいいと思うのです。自分の信じる道を貫き通す事も、正しい事なのかなと。(決してわがままではなくて)
佳純の手紙に涙が溢れ、七夕の短冊に涙腺崩壊です。佳純の流す涙と、恭介の流す涙に心が震えました。遠回りはしたけれど、手遅れにならずに良かった。諦めなくて良かった。最後の幸せな笑顔にまた涙です。
心理描写が繊細な上に、喜怒哀楽の表情がとっても胸に刺さるので、感情移入しやすかったです。絵柄綺麗なので、エチのシーンも美しかったです。素敵な作家様ですね。
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