背中を預けるには
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背中を預けるには

小綱実波/一夜人見

読み終えるのがもったいない!

2021年8月22日
久しぶりに、最後まで読み終えるのがもったいなくなる物語でした。
最初は、「あぁ、また転生ものか」と適当に読み流していましたが、設定も文章もしっかりして、いつの間にか物語の世界に引き込まれてしまいました。目を閉じれば、ツヴァイリンクの荒涼とした風景が浮かぶようで、舐めるように味わうように拝読しました。
レオリーノのいじらしさ、心の強さ、イオニアの記憶を抱えながらのグラヴィスへの想いと葛藤など、本当に語り尽くせません。人生初の小説を書いたという作者の才能に、ただただ脱帽です。第三巻のあとがきにもある、作者の考えたテーマ「自己肯定のありか」という言葉に、さらにこの物語の深さを感じました。文章力もハンパないです。
かと言って、全てがシリアスというわけではなく、レオリーノを溺愛する家族やイオニアの実弟ディレクとレオリーノとの掛け合いなど、クスクス笑える場面もあります。
気が付けば、何度も読み直してしまう名作です。
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