五色の舟
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五色の舟

近藤ようこ/津原泰水

原爆ドームが原爆ドームにならなかった世界

2021年8月26日
太平洋戦争末期、見世物小屋の一家が広島から岩国まで未来を予言すると言われる「件(くだん)」を買いに行く話。

いやこれ…すっごかった……。
絵が昭和な雰囲気だけど、それが物語にぴったりマッチしてる。

主人公は心の声が聴こえる少年。
戦争、見世物小屋、フリークス…決して過剰な描写があるわけではないけれど…ひえ~~、何度もザワッと鳥肌がたちました。

そしてまさかの…禁断の愛!!
たった2コマのシーンだけど、主腐なんでその2コマだけで5話195ページくらいの物語を想像してしまいました。この二人の物語が読みたい。

ラストはなかなか深いです。
一見ハッピーエンドにも見えるけど、じわっと最後に空虚さを感じる作品。でもとても美しい。

怖くて、痛々しくて、面白かった。
形容しがたい魅力にあふれた作品。
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