落果
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落果

akabeko

ただのハピエンじゃない、癖になる仄暗さ

2021年8月31日
実はakabeko先生の作品は初読みなんですが、新刊「蜜果」がどうしても読みたくて、それなら同作品の前日譚が描かれているこちらから読まねば!と本作品を購入しました。
「落果」朴訥なウリ専従業員の大倉×勝気な元No.1コールボーイのりんごのお話で1話読切り32ページ。献身的な純愛かと思ったら、最後に鈍器でガツンとやられた感じです。普通のハピエンにしないのがakabeko先生の作風なのか、大倉&りんごにとっては取るに足らないことなのかもですが、傍から見ると歪んでいるという。この仄暗い感じが癖になってしまうのかも。
「落果スピンオフ」元No.1タチ専ボーイの店長×女が抱けなくなってしまったホストのレオのお話で前後編2話。こちらが続編「蜜果」に続くお話で、確かにこれだけ読むと続きが欲しくなる!始まりは無理やりというわけではないんですが、合意の上とも言い難いので、好みが分かれるところかも。店長が色々強烈なことをしている割には口調や態度が穏やかで、その物腰と行為のギャップにやられました。そしてノンケのレオの可愛さが凄い!続編「蜜果」ではレオが甘やかされているのを見れるのか?「蜜果」を読むのが楽しみです。
「君のいる家」人肌恋しいアラフォー男やもめの万才さん×チャラっぽい家政夫の南くんのお話で前後編2話。人肌恋しいところに南くんのギャップは、もう万才さんの心が動くのは仕方ない!寂しいのは万才さんの方だけだったのかと思いきや、寂しさを埋める何かが欲しかったのは南くんもだったんですね。こちらも一見ハピエンなんですが、チラチラと仄暗さが垣間見えるというか、ただのハピエンにしないのが一筋縄ではいかない感じでした。3つとも短いお話のはずなのに、読み応えがありました。絵は好みど真ん中というわけではないんですが、読んでいるうちに気にならなくなりました。
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