CUT
」のレビュー

CUT

川唯東子

互いの愛によって浄化されてゆく彼らの痛み

ネタバレ
2021年9月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 辛く痛々しい作品でした。。でも最高に好きな物語です、心に沁みます。
瑛二も千秋も悲惨な過去とそのトラウマを抱えていて、それを克服しなければいけないという事はわかっているんだけど、お互い苦しく激しい感情を無理に抑え込もうとさせないで、それぞれのペースで自然と治癒させてあげようとしているんですね。そんな彼らの互いの意思を尊重し合う関係性に心震えました。千秋のリストカットを目撃した瑛二の「リスカしてでも必死で生きようってしてる奴を軽蔑なんかしねえよ」という千秋への言葉には涙が溢れました。肯定も否定もせず、その時の千秋のそのままの在り方をただ純粋に受けとめて、静かに寄り添ってあげる瑛二に感動します。
彼らのお互いへの深い愛と思いやりを痛切に感じるのはやはり最後のepilogueからですね。忘れたい過去だけど、自分自身で向き合い乗り越える必要があるから、何も言わずそっとそばで見守り合っている2人の優しさ、本当に美しいです。epilogueが最高に良かったです。
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