不出来な悪魔
」のレビュー

不出来な悪魔

麻生ミツ晃

ダークな物語としては上出来。好きだな〜

ネタバレ
2021年9月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 6割型とってもダークなミツ晃先生の短編集です。表題作(+描きおろし)他、3本の短篇作品が収録されてます。
表題作の『不出来な悪魔』、まさしくタイトルの通りですね。お互い駆け引きじみた事をしてまるで惑わされていないかの様に振る舞っているんですが、どんどんその恋に溺れていって冷静さを保てなくなるという。2人とも中途半端な悪魔なんですよねえ。でもそこに欲深い人間味を感じて良い。好きな作品です。
3作目収録の『青いカルテ』はザ・狂愛という感じですね。"暴力=愛情"が彼らの愛の形なんだそうです。最後の、ナイフで腹に傷を付けながら裸でキスしているシーン、全身さぶいぼ総立ちでした…OMG。こっわ!こういう暗闇のどん底みたいな作品も大好きです。
表題作と3作目の作品が印象的で特に好きです。他、『明日、僕らは』(長編でも読んでみたいなあと思った高校生2人の話)と『流れるように』(リキュールを擬人化して描かれた話)は比較的平常心で読める素敵な作品です。
短篇作品なのにも関わらず、1作1作圧倒的なクオリティで内容も非常に濃く読み応え抜群で、毎回ですがミツ晃先生の作品の創造力には驚いてばかりです。毎度毎度感服です。
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