はなれがたいけもの
」のレビュー

はなれがたいけもの

八十庭たづ/佐々木久美子

低評価レビューを見てから買って

ネタバレ
2021年9月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ まず、世界観と大まかな設定だけはいいです。獣人や人間が混在する世界で、人間の国側の暗殺者である主人公は供物の一つとして獅子人の王に捧げられる。互いに惹かれて暗殺もできず一度だけ閨を共にして逃げてしまいという…BL殺伐シンデレラという感じで、試し読みで魅力を感じクーポンもあったのでまずは一冊と購入しました。

しかし、何というか、試し読み部分以降が、表現も展開もお粗末です。
まず主人公ディリアのキャラがブレブレです。
『親の愛情も得ずに幼くして命がけの出産もして苦労しつつ、良い子を育てる慈母兼戦闘もできる美青年♦』を描きたいのはわかります。
ただそれに『愛情に飢えてるけど気がついてなくて息子を愛してるのにも気がついてなくて自分は出来る人間だと思ってるけど好きな人には隙だらけで意外とドジっ子💦』という内面設定は属性過多では????
「こんなこと言ってこんなことやってた子がそんな事言わんやろ」と一切共感できないしキャラを把握できない。実は強いんですー!と書かれてもじゃああのレイ○未遂は何だったんや…と矛盾点ばかりです。

地の文も稚拙で、半端に童話風。キャラの行動を表すだけで、台詞を補填する役割も果たさず誰の内面を描いているのか分かりづらいのに無駄に繰り返しを多用するので余韻もクソもない。読むのが苦痛になった最大の要因です。まだ60%か早く終わってくれと何度思ったことが…

何よりディリアとユドハの口調が似てる上に地の文が少ないのでどちらが話しているのか一瞬迷います。ディリアは敬語キャラにしたほうが良かったのでは。
更に矛盾のあるセリフ。
「信用できない」「当然だ。でもお前たちを守りたい」数ページ後…「俺の信用を勝ち得た」「言っただろう。お前の信用を得ると」
……………いや言ってなくね?
文章とイラストとの乖離を感じるシーンもあり、イラストレーターに依頼したあとに展開を変えたんじゃ…だからこんなぐちゃぐちゃなのではと勘ぐってます。

値段も高いけど評価も高いしシリーズになってるしと期待しすぎた部分もあるとは思います。
ですが、上記のこともありシンプルにつまらない。ただただ読むのが苦痛でした。電子で買ったことを後悔しました。中古で手放すこともできない。なぜ高評価なのか理解できない…低評価レビューも見てから買えばよかった。高い勉強代になりました。
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